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たかさんと二人で第三坂瀬をめざして松尾川を上流へと車を走らせていた。しらさぎ荘の前あたりでかなりの人が集まっていた。午前4時を過ぎた人里はなれた山の中だから驚いた。
「そういえば釣具屋のおっさんがこの辺りで成魚放流あると言っていたなぁ」
「ちょっと見ていく」
橋の上から川の中を覗き込むと、これまたビックリ川の中には何人かの人がいてライトの明かりを頼りに釣りをしている。たまに釣れているから再びビックリ
「アマゴって夜釣りでも釣れるんだなぁ」 と感心していると
たかさんが人から聞いてきて
「吉野川の遊魚券があれば大丈夫らしいからちょっとやってみる」
「時間もまだ早いし ちょっとやろうか」
この「ちょっと」が後々命取りになるとは、このときは全く気づかない二人であった。
釣りの準備をして川原に下りて他人のライトを頼りに一流し、二流しアタリが合って小さくあわせると8寸前のアマゴが釣れてきた。「簡単に釣れるじゃない」この時完全に成魚放流なるものにはまってしまい。今日の目的を忘れてしまった。
快調に釣果を上げていたが、夜が明けて人の数が増えてきて、いくら放流魚とはいえそう容易く釣れなくなってしまった頃
「ぼちぼち、第三坂瀬に行きますか」 「そうだなぁ魚もスレて来た事だし・・・・」
しらさぎ荘前を出発したのは8時近くになっていた。車を進め松尾川本流から坂瀬集落への坂道に差しかかると路面が凍結していて車がスリップして動かない。何度か押し上げようとしたが全くダメで道の広いところに避けて、歩くことにした。本流の下降地点まで約2km、30分の道のりをトボトボと歩いた。本流への下降地点に着いたのは9時を回っていた。100m近い下降ルート下って本流へ、本流を少し遡行すると右側に第三坂瀬の入り口がある。入り口は狭く本当にここが第三坂瀬と思うのだが入り口の薄暗い滑床状の滝を登ると渓が開けて来て明るくなる。この2km弱上に電力の取水があるが、1年前に取水から上を釣り上がった時、取水が開いていて取水から本流までは結構穴場かもしれないと思い今回の釣行となった。(最近は、取水から殆ど水を流していないく取水下は水が無い。わずかばかりの電力を起こすためにこんな素晴らしい渓を消滅させてもいいのだろうか・・・・・・・)
しばらく遡行するとヒレピンの天然アマゴが釣れた。
「やっぱり、アマゴはこういう自然の中で釣るのがいいなぁ」「本当、本当・・・・」
つい先ほどまで成魚放流に興じていたことをここで反省
電力取水手前から雪が現れ始め、滑ったり転んだりで遡行に苦労するようになった。電力取水まで来て
「雪も出てきたしそろそろ納竿にする?」
「帰り道はわかっているし、魚も出ているから、もうちょっと釣りあがって終わりにしよう」
この「ちょっと」が曲者であった。
電力取水には、坂瀬本流と第三坂瀬の尾根を囲むようにして点検道があり、この点検道を利用すれば坂瀬集落まで1時間強、そこから今日の車止めまでは1時間弱でたどり着くことができることは、1年前に確認済みである。
期待したほどは魚は出なかったが、そこそこの釣果がありいつもの滝下を3時前で納竿、さて、帰り道だが雪中を無理して釣りあがってきたために、渓沿いを取水まで
帰るのは危険と判断した。都合よく納竿点の30m程上に植林帯を見つけた。植林帯の中に帰りの林道を見つけるべく急な斜面を登りはじめた。
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