98年月16日、17日 濁流の教訓        メインページへ  メインページへ  
              
那賀川1泊釣行


 98年GW後に、K君と那賀川1泊釣行を計画した。南川の源流を釣り木沢の四季美谷温泉で1泊、奥槍戸を少し釣ってから帰ってくる計画だった。久しぶりの那賀川・・・・日付が変わる前に出発夜討ちをかけた。
 最終二又の車止めまで行きたかったのだが土砂崩れの工事で通行止め、ここからだと二又まで30分以上の歩き・・・・おまけに先着者がテントを張っていた。・・・・・ついてないなぁ・・・・・・まぁこの辺りは支流が幾つでもあるからそんなに心配はしなかった。いつものようにビールを1本あおって浅い眠りについた。
 5時過ぎ車のライトで目が覚めた。少し雨が降り始めて薄暗い。車の中から様子をみていると、その人はさっさと歩きはじめた。
 「おいおい、後から来て挨拶無しかよ」
 「なんちゅ 奴やぁ」
 「ほんじゃ ワシらも出かけるかいな」
 準備を整えて車をでた。礼儀正しい我々は、テントの中の先着者に敬意を払って
 「おはようございます。上流釣りたいのですが・・・・・」
 「いいですよ、昨日釣ったから今日は、この下をちょっと釣ってから帰るつもりです。」
 「昨日は、何処に入られました?」
 「ちょっと上から本流を釣りあがりました。」
 「釣れましたか?」
 「いやぁ、たいしたことなかったなぁ」
 「そうですか。ほんじゃおさきに」
 先着者と別れて、小雨の振る中を二又目指して歩きはじめた。あと気になるのが挨拶も無しにの無礼者が何処に入ったのか?・・・・・ダートに残る足跡を見失わないようにした。10分ほど歩くと足跡は無くなった。本流を覗き込むと無礼者が竿を伸ばして準備中だった。我々に気づいた無礼者は体裁悪く 頭を下げた。ことと場合によっちゃ上から石が降ってきても不思議じゃない状況なんだけど・・・・・勿論我々は、そんなことはしません。大人だからね。何も言わず上流を指差して歩きはじめた。
 「たぶんね、今の場所は本流に降りやすいから、テントの人は、昨日この辺りから釣り始めたと思うよ」
 「じゃ、釣れないな かわいそうにねぇ」
 「ちゃんと情報収集しとけば状況は変わったかもしれないけどね」

 上流の二又に到着、降り止まない小雨の影響で数センチ水位が上がっているような気がしていたが我々は、全く気にしていなかった。入渓した二又からポツリポツリと良型のアマゴが竿を絞ったからだ。『今日は爆釣 かもしれない!』と思っていた。
 やがて南側から小尾根越しに延びている林道が渓と交差している地点まで来たときにバケツをひっくり返したような大粒の雨が降り始めた。しばらくすると渓は水量が増え笹にごり状態・・・・・それでもアマゴは釣れて来る。『絶好やな』そのとき もそう思っていた。それから30分くらい釣り上がっただろうか?雨は弱まる気配は無く、だんだん激しさを増してゆく。ここで心配なことが頭を過ぎる。我々が入渓したのは二又の本流側からだった。二又ということはもう1本支流があるわけでその支流を渡らなければ車道に出られない。橋など架かってないからその支流が増水していれば帰れることができない。しばらく考えて「もう限界やな。そろそろ帰るか?」とK君に提案した。K君は、もう少し釣りたいという。「それじゃ、俺が支流の帰り道を確保しておくから・・・・」と別れた。30分くらい林道を辿って二又に戻ってきた。我々が釣りあがった本筋の渓をみると濁流と化していた。南支流はどうかと近づくと増水はしているが何とか渡れそうだ。何より林道の続きにワイヤーが渡してあってそれに掴まれば少々増水しても帰ることはできそうだ。
一先ず南支流を渡り、大粒の雨を避け植林の中へ逃げ込んで昼飯用のおにぎりをハクツキながらK君が帰ってくるのを待った。植林の中では、雨足が少し和らいだがザァーザァー降りには変わりなかった。合羽の中もビショヌレ状態、下は遡行パンツ、ジッとしていると体温が奪われていく15分くらい待っただろうか、いや20分・・・・かなり長く感じられた。K君はまだ帰ってこない。
 「まぁ、あのワイヤーがあれば南支流は渡ることができるだろう。林道の続きだし・・・・」
 妙に自分自信を納得させるようにして車まで戻ることにした。
 車まで戻る途中本流を覗き込む 林道から渓底まで4、5mあっただろうか?朝来たときには底が見えるような流れだったのに半分以上濁流で埋まっていた。それも覗き込むのが怖くなるような凄い流れだ。

 車に戻った。着替えを済ませエンジンをかけた。気付けに宴会用の酒を流し込む・・・・・漸く生気を取り戻した。K君は大丈夫だろうか?急に心配になってきた。
 @何故、二人で行動しなかったのか?
 A支流を渡った渡ったところで待っていなかったのか?
 Bそしてなにより「ヤバイから帰ろう」と説得できなかったのか?
 最悪のことを考えて、頭の中を『後悔』が支配してゆく

 再び、濡れた合羽を着て、冷たい渓流靴を履きK君を迎えに行くことに決めた。車を離れて直ぐに林道をトボトボこちらに向かってくる人影・・・・・K君だった。
 「心配したで・・・・」
 「すみません・・・・・・・」
 しばらく二人とも無言だった。
 「あれから、どうだった?」
 「30分くらい釣ったけどダメやった。川の底を小石が転がるような音がしてヤバイと思った。」
 「支流のワイヤーわかったか?」
 「・・・・・・増水してギリギリやった。」
 撤退する勇気を思い知った二人だった。

 四季美谷温泉に向かう道から周りをみるとあちらこちらで臨時の滝ができていた。木頭川沿いに入ってトンネルの入り口が滝となって流れていた。温泉に入りたい一心でかまわず突入した。温泉に入って早めの夕食を頼んだ。ビールを飲みながら温泉の下を流れる木頭川を見た。こちらも物凄い濁流だった。川の水位は温泉まで5m以上あるから大丈夫のようだ。その夜は二人とも疲れていたのか『大宴会』とはならず早めに床についた。TVを消して静かになると濁流の音に混じって、時々大石が川底を転がる「ゴロゴロ」という音が聞こえてきて、何度も目が覚め川の水位を確認した。

 翌日、雨はあがり快晴だった。木頭川の水位は半分くらいになっていたが相変わらずの濁流だった。二人とも今日の釣りは諦めて布団からなかなか出ようとしなかった。 「朝食の準備ができましたよ。」という電話で漸く重い腰を上げた。
 「今日どうする?」
 「この分じゃ釣りは無理ですね」
 「スーパー林道の上の谷をみてダメだったら帰ろうか?」
 四季美谷温泉を出たのが9時過ぎ、スーパー林道の上にある渓を目指した。
 標高1100m水量は多いものの、笹にごりより水は澄んでいた。
 「流石は、自然林やな。これなら釣りになるかもしれない」
 入り口付近は、水量が多く相手にされなかったが源流を詰めると何とか釣りになった。

 


 

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